Mac mini(M4)の消費電力を測ってみた話|24時間つけっぱなしなら電気代は月67円

暮らし・家事

つけっぱなしにして、何かさせられないか

2025年5月に、Mac mini(M4)を買いました。81,873円でした。

2025年5月に買ったMac mini(M4)。木製スタンドに載せて棚に置いている

はじめて買ったMacです。使ってみたかった、というのが正直な動機でした。

ところが、これがあまり使えていません。私はWindowsに慣れているので、操作のたびに手が止まる。結局、いつものWindowsノートパソコンで作業してしまう。Macでなければできないことも、特にありませんでした。

でも、売る気にはなれませんでした。せっかく買ったものですし、思い入れもあります。

そこで考えたのが、Mac miniの特徴を活かせないかということです。消費電力が小さく、動作音も静か。24時間動かしても負担が小さいはずです。置いておくだけで何かを生んでくれたらいいなと考えました。

まず、何もさせずに置いておくだけで、どれだけ電気を使うのかを知りたくなりました。消費電力を測れば、電気代に換算できます。基準が分からないと、そこから先の話ができません。

先に結論を書くと、24時間つけっぱなしにしたときの電気代は、月67円でした。ただ、測ったあとで気づいたことのほうが大きかったので、そちらも合わせて紹介します。

実際に消費電力を測ってみた

家電の消費電力を測る道具があります。ワットチェッカーといって、コンセントと機器の間に挟むだけで、その機器が使っている電力が分かるものです。手元に持っていたので、実際に測ってみました。

使ったのは、ラトックシステムのBluetoothワットチェッカー(REX-BTWATTCH1)です。消費電力・電圧・電流をスマホアプリで確認できます。

なお、使ったREX-BTWATTCH1は、すでに販売終了しています。後継とされていたRS-BTWATTCH2も出荷完了になっており、2026年9月時点では、同社のワットチェッカーはWi-Fi接続のRS-WFWATTCH2が残っているようです。

消費電力は刻々と動きます。スマホ画面の数字をその場で読んでも、たまたまその瞬間の値でしかありません。この製品は1秒ごとの記録を、表計算ソフトで開ける形式で書き出せます。まとめて平均を出せるので、その瞬間ごとのばらつきをならすことができます。

ラトックシステムのBluetoothワットチェッカー(REX-BTWATTCH1)。コンセントに挿し、その先に機器をつなぐ
Mac miniの電源コードを直接つないで測定した。ケーブルは棚の裏を通っている

測ったのは3つの状態です。電源を切ったまま。電源を入れて何もせず放置(ケーブル類を外した状態と、普段の接続のまま)。電源が入っていて何も操作していない状態を、専門的にはアイドル状態と呼びます。この記事でも以降そう書きます。

状態消費電力
電源オフ(待機)0.16W
アイドル(ケーブル類を外した状態)1.47W
アイドル(普段の接続のまま)2.89W

測定は2026年9月9日の朝、室温25℃・湿度36.5%。それぞれ5分間(300回分)の平均です。表示が落ち着くのを待ってから記録を始め、5分ほど眺めて値の動きが収まっていたので、この長さにしました。

「普段の接続」というのは、モニター(HDMI)、有線LAN、マウスのUSBレシーバーをつないだ状態。ケーブルを挿すだけで、消費電力が1.42W増えました(1.47W → 2.89W)。

「普段の接続」の状態。左から電源、有線LAN、HDMI。マウスのUSBレシーバーは右端のUSB-C端子に挿している(写真では見切れている)

ちなみにAppleが公表しているアイドル時の消費電力は4Wです。実測した2.89Wは、それを下回りました。

ただしAppleが「待機中」と呼んでいるのは、Finderだけが開いていて初期設定のまま置いてある状態です。周辺機器をつないでいたかどうかまでは書かれていないので、条件が完全に同じとは言えません。Appleの値も壁のコンセントで計測したものだと注記されているので、測り方そのものは同じです。

なお、ケーブル類を外した状態なら1.47Wで、公表値の3分の1近くまで下がりました。

電気代に直すと

ここからWとWhという単位が出てきます。単位そのものについては記事の最後にまとめたので、詳しく知りたい方はそちらをご覧ください。

W(ワット)は1秒あたりに流れるエネルギーの量、Wh(ワットアワー)はその合計です。Wに使った時間を掛けるとWhになります。

2.89W × 24時間 = 69.36Wh

電気料金は、このWhを1,000で割ったkWh(キロワットアワー)単位で計算されます。69.36Whなら、0.06936kWhです。

我が家の電気は時間帯別のプランです。昼(9時〜21時)と夜(21時〜9時)で単価が違い、昼が43.17円/kWh、夜が20.88円/kWh。夜は昼の半額以下です。

※2026年9月分の単価。燃料費調整額(燃料価格の変動を反映する調整分)と再エネ賦課金(再生可能エネルギーの普及費用として全世帯が負担する分)を含みます。単価は契約プランや使用量の段階によっても変わるので、ご自身の検針票でご確認ください。

24時間動かすと、昼の時間帯が12時間、夜の時間帯が12時間で、使う時間がちょうど半々になります。先ほどの0.06936kWhを、半分ずつに分けて計算します。

  • アイドル時の消費電力2.89W × 12時間 = 34.68Wh → 0.03468kWh(昼の分。夜も同じ)
  • 昼:0.03468kWh × 43.17円 = 1.50円
  • 夜:0.03468kWh × 20.88円 = 0.72円
  • 1日あたりの電気代 2.22円
状態1日1か月1年
電源オフ(待機)0.12円3.7円45円
アイドル(2.89W)2.22円67円811円

1か月は30日として計算しています。

24時間つけっぱなしにしたときの電気代は、月67円。1年動かしても811円です。

以前、缶コーヒーを我慢した分をブログのネタ代に変える仕組みを作った話を書きました(→缶コーヒーを「つい」買ってしまう自分の癖)。あの記事では1回150円として数えているのですが、缶コーヒー1本を我慢すれば、Mac miniを2か月以上つけっぱなしにできる計算になります。逆に言えば、1年動かしても缶コーヒー6本ぶんに届きません。

この測定値は、信用していいのか

ここまで数字を並べてきましたが、実は測定の前に、確かめておいたことがあります。

ワットチェッカーの示す値は、正しいのか?

Mac miniを測る数日前に、これを確認しておきました。

家庭に基準となる測定器はないため、厳密な検証はできません。それでも、明らかにおかしくないかどうかは確かめられます。

やったことは2つです。

まず、何も挿さない状態で測ります。何もつながっていなければ、消費電力の表示は0Wになるはずです。これをゼロ点といいます。画面の表示は0.00W。ただし1秒ごとの記録を見ると、消費電力は0Wのままではなく、0Wと、0.1Wに届かないくらいの値との間で細かく上下していました。この製品の消費電力の測定精度は、メーカーの製品仕様で±30mW(0.03W)とされているので、揺れ幅はおおむねその範囲に収まっています。なお、このとき電流の表示が0mAになっていませんでした。そちらは記事の最後の備考にまとめました。

何も挿さない状態でゼロ点を確認した
ゼロ点確認の画面。消費電力は0.00W。ただし電流は11.8mAと表示されている。

次に、消費電力が分かっている機器で測ります。手元にあったコイズミのドライヤーが定格1300Wだったので、これを使いました。定格というのは、メーカーが「この値までなら、安全に、連続して使い続けられます」と保証している上限のことです。ドライヤーは電熱線に電気を流して熱を出すだけの構造で、消費電力を機器が調整することはありません。だから一番強いHIGHで使えば、定格に近い値が出るはずです(定格については、記事の最後の備考にまとめました)。

消費電力が分かっている機器として、定格1300Wのドライヤーで測定した。
本体に刻印された定格表示。AC100V 1300W。

このドライヤーには、風の温度を切り替えるスイッチ(COOL/LOW/HIGH)のほかに、ボタンが2つ付いています。イオンとターボです。どちらもONにすると消費電力が変わる可能性があるので、両方ONのまま固定し、温度の切り替えだけを変えて測りました。

状態9月3日9月4日
OFF0.0W0.1W
COOL243.5W242.3W
LOW656.7W665.5W
HIGH1282.9W1299.4W
測定中の画面。HIGHにすると1286Wを表示した。表の1282.9Wは、この測定の平均値。

9月4日のHIGHは1299.4W。定格1300Wとの差は0.6Wでした。別の日に測り直しても、OFFを除く3つの状態で、測定値の差は1.4%以内に収まっています。

ここまでで言えるのは、この測定器が1300W付近とゼロ点で正しく動いている、ということです。日をまたいでも値が揃っているので、再現性もあります。

ただ、確かめたのはその2点だけです。Mac miniのアイドル時は3W前後で、桁が小さいです。その領域でどこまで正確かは、今回の方法では分かりません。

それでも、この測定器は信用してよさそうだと判断しました。以降の数字は、その前提で読んでください。

上限はいくらか。そして、答えが出なかった

何もさせなければ、電気代は月67円。では、何かさせたらいくらになるのか。

Appleは、消費電力の最大値を65Wと公表しています。これで計算すると、電気代は月1,499円になります。

ただし、これは演算を集中的に行わせるテスト用のアプリケーションを動かし、消費電力を最大にしたときの値です。日常的な使い方でここまで上がることは、まずありません。この月1,499円は、理論上の天井ということになります。

では、電気代は現実的にどのあたりに落ち着くのか。

ここで手が止まりました。何をさせるかが決まっていないので、計算のしようがない。

では、何をやらせるか

有効活用と言っても、漠然としています。自分にとって実感できる形で「活かした」と言えるのは何か。考えた末に出てきたのは、利益を得ることでした。動かした結果、何かが返ってくる。それなら活かしたと言えます。

この視点で見ると、話が変わります。

利益を考えるなら、かかるコストは電気代だけではありません。

時間のコストがあります。仕組みを作り、動かし続け、様子を見る。その時間は無償ではない。

ただし、時間のコストは金額に直せませんでした。何をやらせるかが決まっていないので、どれだけ時間がかかるかも分からないためです。

本体の購入費もあります。81,873円。

利益は、入ってきたお金から出ていったお金を引いたものです。利益という視点で見ると、Mac miniは利益を生むための道具ということになります。道具を使って利益を得る以上、その道具の代金も引かないと、正しい利益は出ません。

電気代より大きな費用、本体代

本体代の扱い方には、注意が必要です。

買った月に81,873円をまとめて引いてしまうと、その月だけ大赤字になり、翌月からいきなり黒字になります。やっていることは同じなのに、数字が実態と合いません。

そこで会計では、買った時点では費用にせず、資産として扱います。そして使っていくうちに価値が減っていくと考え、その減った分を毎年の費用として計上していく。これが減価償却です。

何年で価値を使い切ると見るかは、税務上決められています。法定耐用年数といって、パソコンは4年(国税庁のホームページで確認しました)。実際に4年で壊れるという意味ではなく、あくまで計算上の年数です。

81,873円 ÷ 48か月で、月あたり約1,706円。これが、毎月かかっている費用ということになります。

なお、Mac miniを買ったのは2025年5月なので、実際にはすでに1年以上が経っています。厳密に計算するなら、家庭用に使っていた期間のぶんを差し引くことになるようですが、ここでは目安を出すのが目的なので、購入額をそのまま4年で割りました。

月あたり
電気代(アイドル)67円
本体代(減価償却)1,706円
合計1,773円

本体代は、電気代の約25倍でした。

電気代を細かく計算していましたが、本体代を入れると、見える景色が変わります。回収すべき金額は、月67円ではなく、月1,773円になりました。

また、その他として、私のモチベーションがあります。金額には直せませんが、条件ははっきりしています。ノルマやペナルティのある請け負い仕事はしたくない。契約書の読み込みで時間を使うのも、契約で縛られるのも嫌だ。手元だけで完結するものがいい。そして何より、楽しくないと続きません。

この条件を満たしたうえで、月に2,000円ほどを生み続けるもの。それが何なのかは、まだ見つかっていません。

まとめ

測ってみて分かったことを整理します。

  • 24時間つけっぱなしでも、電気代は月67円。缶コーヒー1本で2か月以上動く
  • 消費電力を限界まで上げても月1,499円。これが理論上の天井
  • 本体代を月割りすると1,706円。電気代と合わせて、少なくとも月1,773円

そして、何をやらせるかが決まっていないと、電気代すら計算できない。

一番身に染みたのは、道具から用途を探すことの難しさでした。

やりたいことが先にあれば、それに合う道具を選ぶだけです。道具が先だと、その道具が得意なことの中から、自分がやりたくて続けられるものを探すことになります。条件が二重になるぶん、見つける難易度が跳ね上がります。

Mac miniの常時稼働は、結局やっていません。普段は電源を切っています。

しいて言えば、用途はひとつあります。私がメインで使っているのは2018年モデルのWindowsノートパソコンで、もう何年も経っているので、いつ壊れてもおかしくありません。そのときの後継機として、Mac miniを置いてあります。

ただ、これは置いてあるだけです。動かして何かが返ってくるわけではないので、この記事で言う「活かす」には届きません。

有効活用そのものをあきらめたわけではありません。難易度が高いと分かっただけで、探すのをやめる理由にはなりません。引き続き考えていきます。

備考:気になったので調べた(WとWh、定格、費用と減価償却)

記事を書くにあたって、WとWhの違いから調べ直しました。同じところが気になった方のために残しておきます。読み飛ばしていただいて構いません。

Wは「1秒あたりに流れるエネルギーの量」

エネルギーの量はJ(ジュール)という単位で表します。10Wの機器なら、1秒ごとに10ジュールのエネルギーを使っている。これを毎秒続けているのが「10W」という状態です。

10W = 10J ÷ 1秒

書くたびに「J/秒」では手間なので、短く W と呼んでいるだけです。中身は変わりません。

このWの数字は、時間の長さでは変わりません。ずっと10Wで動いている機器なら、1秒でも1時間でも10W。1秒あたりのエネルギーの量だからです(実際の機器は動作に応じて上下します。Mac miniもそうでした)。

Wは「消費電力」とは限らない

厳密には、Wが表すのは「電力」であって、消費とは限りません。

  • 発電所の出力(発電電力)— 100万kW
  • 太陽光パネルの発電量(発電電力)— 5kW
  • モーターの出力(定格出力)— 750W

どれも作る側・送り出す側なので、消費電力とは呼びません。発電するものは発電電力、モーターのように力を外に出すものは出力と呼ばれます。Wは「1秒あたりに流れるエネルギーの量」を表す一般的な単位で、使う場面に限りません。

そのうち機器が使う側を指すときだけ「消費電力」と呼びます。Mac miniの2.89Wは使う側なので、消費電力という言い方で合っていることになります。

1秒あたりの量に時間を掛けると、合計になる

W × 時間 = Wh(ワットアワー)

これが「消費電力量」です。「量」の一文字で、1秒あたりか合計かが変わります。

  • 消費電力(W)— 1秒あたりのエネルギーの量
  • 消費電力量(Wh)— エネルギーの合計

10Wの機器を2時間使えば、10 × 2 = 20Wh。これだけです。

ここで、Wの定義に戻ってみます。Wは1秒あたりのエネルギー量、つまりJ ÷ 秒でした。これに時間を掛けると、秒が打ち消し合って、残るのはJだけになります。

J ÷ 秒 × 秒 = J

つまりWhは、エネルギーの量そのものです。1Wh = 1W × 3600秒 = 3600W秒 = 3600J。W秒とJは同じもので、単位の名前が違うだけです。

名前にWが入っているので、Wの仲間のように見えます。でも別の種類の量でした。Wは1秒あたりにどれだけ流れているか、Whは流れた総量です。

あとの表で「W秒(J)」と書いているのは、これが理由です。

なぜ「時間」なのか

ここで疑問が湧きました。なぜW時(Wh)なのか。W秒やW分、W日ではいけないのか。

原理的には、どの単位でも成立します。実際、W秒にあたるジュールは、科学の世界で正式に使われている単位です。

まず桁の問題があります。仮に1か月で300kWh使ったとして、それぞれの単位で書いてみます。

単位数値
W秒(J)1,080,000,000
W分18,000,000
W時(Wh)300,000
W日12,500
kW時(kWh)300

W秒だと10億超え。桁が多すぎて読めません。kWhなら300。3桁で収まります。

もうひとつ、家電の使用時間は「時間」で数える習慣があるからだと思います。「エアコンを6時間つけた」とは言いますが、「0.25日つけた」とは言いません。時間で数える習慣があるので、単位も時間に揃えた方が計算が楽になります。

10Wの電球を3時間点けた → 10 × 3 = 30Wh

そのまま掛けるだけです。日で計算すると「3 ÷ 24 = 0.125日」という変換が挟まって面倒になります。技術的な必然ではなく、実用上の都合なのではと思います。

加えて、日本では電力量計にkWhの表記を使うことが法律(計量単位規則)で定められています。検針票や料金表の表記がkWhなのは、このためだと思います。

なお、法律がジュールではなくkWhをなぜ選んだのか。そこまでは調べきれませんでした。

面積と同じ構造をしている

消費電力量は面積と同じ構造だと気づきました。

縦6m × 横8m = 48m²

10W × 2時間 = 20Wh

縦がW、横が時間。その掛け算が消費電力量です。

200Whという消費電力量を、3つの長方形で見てみます。

縦(W)横(時間)面積
200W1時間200Wh
2W100時間200Wh
1W200時間200Wh

長方形の形は全部違いますが、面積は同じ200です。

48m²を「1m²のタイルが48枚」と見るように、200Whは「1Wを1時間使った分が200個」と見られます。この「1Wを1時間使った分」=1Whが、基準の1マスです。

だから、200Wの機器を1時間使うのと、2Wの機器を100時間使うのとでは、消費電力量がまったく同じになります。消費電力は100倍違うのに、使う時間が100分の1。面積は変わりません。

小さな電力でも、長く使えば積み上がる。その理屈が、面積として見ると一目で分かります。

Whは、消費だけの単位ではない

単位そのものは、面積と同じで、「何の量か」を言っていません。

  • 200m² — 土地か、床か、壁かは、文脈が決める
  • 200Wh(消費)— 1Wで1時間使った分が200個
  • 200Wh(発電)— 1Wで1時間作った分が200個

太陽光発電の売電では、買う側から見れば消費電力量、売る側から見れば発電電力量。同じ数字を、立場によって呼び分けています。

電気自動車の電池容量が60kWhというのも同じで、これは溜められる量です。消費でも発電でもなく、貯蔵。

Whは、それだけ汎用的な単位ということになります。

消費電力が同じなら、仕事量も同じか

書いていて気になりました。Wが1秒あたりのエネルギーの量だとすると、同じ消費電力の機器なら、同じだけの仕事をしているのか。

調べてみると、違いました。同じ消費電力でも、できる仕事の量は同じになりません。入ってきたエネルギーは必ずどこかに出ていきますが、目的の仕事に使われる分と、熱などで捨てられる分に分かれるからです。この割合が効率です。

同じ目的の機器を並べると、差がはっきりします。資源エネルギー庁が公開している省エネ性能カタログというものがあり、そこに白熱電球とLED電球の比較が載っていました。

白熱電球は54Wで810ルーメン、LED電球は9.4Wで850ルーメン。ルーメンというのは、その電球が1秒あたりに出す光の量を表す単位です。Wが1秒あたりのエネルギーを表していたのと、同じ形の単位になります。数値が近ければ、同じくらいの明るさということになります。

ほぼ同じ明るさを出すのに、消費電力は5倍以上の差がありました。白熱電球は、投入したエネルギーの大半を熱として捨てているからです。

省エネ性能カタログには、発光技術の違いも載っていました。白熱電球は、中に入っている細い金属線(フィラメント)を高温にして光らせる方式です。LEDはまったく別の方式で光ります。

言われてみれば、白熱電球は点けたあとに触ると熱くて触れないほどでした。LED電球は、ほとんど熱さを感じなかった記憶があります。捨てているエネルギーの差が、そのまま手に伝わっていたことになります。

ドライヤーは、この点では例外的な機器です。目的が熱を出すことなので、投入したエネルギーがほぼそのまま目的の仕事になります。電気ケトルやトースターも同じです。

つまり、同じ消費電力でも、何がどれだけできるかは機器によって違います。この記事はMac miniの電気代を出すだけなので効率までは踏み込みませんが、同じ目的の機器を比べるときには必要な視点でした。

定格とは何か

ワットチェッカーの表示が正しいかを確かめるため、消費電力の分かっている機器として、定格1300Wのドライヤーを使いました。この「定格」という表示について、調べたことを残しておきます。

定格は、メーカーがその機器について定めた基準の値です。指定しているのは使用条件であって、どの運転モードで使えという話ではありません。LOWやCOOLで使うのは、定格の範囲内での正常な使い方です。

定格電力は、定められた条件下で連続して使用できる最大値を指します。この値までなら、安全に、連続して使い続けられるという上限です。

定格が最大と一致するかは、機器による

ドライヤーのヒーターは電熱線です。抵抗値が決まっていて、そこに電圧をかければ電流が流れるだけ。制御は入っていません。だから一時的にでも1300Wを超えることができず、連続して使える最大=そもそも出せる最大になります。電気ケトル、トースター、こたつも同じ構造です。

一方、エアコンはこうなっています。

定格冷房能力 2.8kW(消費電力 620W)

最小〜最大 155W〜1,000W

冷房能力2.8kWというのは、部屋から取り除ける熱の量です。消費電力とは別物で、620Wの電気を使って2.8kWぶんの熱を動かしている、という読み方になります。

その620Wは、JISで決められた標準条件(外気温35℃など)で運転したときの値です。実際には155Wまで下がることも、1,000Wまで上がることもあります。この場合、定格は最大ではなく代表値です。

モーターも同じで、定格出力750Wのモーターに定格以上の負荷をかければ、一時的に900W出ます。ただし発熱するので連続では使えません。別記された「最大」は、短時間なら許される値であって、定格を超えるため使い続けられません。

パソコンもこちら側です。Mac miniの消費電力が2.89Wだったり65Wだったりするのは、状況に応じて機器自身が調整しているからです。

整理すると、こうなります。

意味
定格電力定められた条件下で、連続して使用できる最大値
最大(別記あり)一時的になら許される値。定格を超えるため、連続では使えない

そして、

  • 制御が入らない機器(ドライヤー等)— 定格=その機器が出せる最大
  • 制御が入る機器(エアコン、パソコン等)— 定格は代表値で、最大は別に示されます

参考までに、Mac mini(M4)の場合はこうなっています。

状態消費電力
待機中4W
最大65W

Apple M4チップ、16GBメモリ、256GB SSDの構成での数値です。

Appleは「定格」という表記を使わず、待機中と最大の2つだけを公表しています。制御が入る機器なので、決まった値を1つ示しても意味がないのかもしれません。そこは私の推測です。

実測では、普段の接続のままで2.89Wでした。

ぴったり1300Wにならない理由

測定器の検証では、定格1300Wのドライヤーを使いました。ところが実測値は、9月3日が1282.9W、9月4日が1299.4W。どちらも1300Wちょうどにはならず、日によっても違いました。

定格どおりにならない理由を、調べてみました。

  • コンセントに来ている電圧は、法律上95〜107Vの範囲で変動が認められている
  • 電熱線の抵抗値には個体差がある(±5%程度は普通)
  • 金属は熱くなると抵抗が上がるので、使い始めと数分後で消費電力がわずかに違う

9月3日と4日の差は、主に電圧の変動によるものと考えられます。機器が自分で調整しているわけではありません。

測定器が示した、正体不明の11.8mA

ゼロ点を確認したとき、消費電力は0.00Wでしたが、電流は11.8mAと表示されていました。何もつながっていないのに電流が流れているのは、おかしな話です。

この製品の電流の測定精度は±10mAとされています。11.8mAはこれとほぼ同じ大きさなので、測定の下限付近で出た数字と考えるのが自然でした。ドライヤーをつないでスイッチを切った状態でも11.6mAで、つないでもつながなくても、ほとんど変わりませんでした。

ただしこれは推測です。確かめるには、消費電力の分かっている小さな機器を測って、表示が11.8mAぶんずれているかを見る必要があります。今回はそこまでやっていません。

なぜ会計では、買ったお金をすぐ費用にしないのか

本文で減価償却の話を書きましたが、そもそもなぜそんな面倒なことをするのか。調べたことを残しておきます。

会計という仕組みは、商売の成果を正しく把握するためにあります。儲かっているのか、損をしているのか。それを1年ごとに区切って見るためのものです。

ふだんの感覚では、費用といえば使ったお金のことです。でも会計では、お金が出ていかなくても費用になります。パソコンを使うとき、現金は動きません。減っていくのは資産の価値のほうです。

だから費用とは、売上を得るために手元から失われた、お金や資産の価値のことになります。

そのうえで、いつ費用にするかは対象によって変わります。分かれ目は、その効果がどれだけの期間続くか。

広告費や旅費のように、効果がその1年のうちに終わるものは、払った時点で費用になります。でもパソコンのように何年も使うものは違います。

ここで問題になるのが、お金を払うタイミングと、成果が出るタイミングがずれることです。道具は買った月だけ使うわけではなく、何年も使い続けます。

仮に月2,000円(年24,000円)の収益があったとして、道具の購入費81,873円を「払ったときに全部費用」とすると、こうなります。

1年目2年目3年目4年目
収益24,000円24,000円24,000円24,000円
費用81,873円0円0円0円
利益−57,873円24,000円24,000円24,000円

1年目だけ大赤字で、2年目から急に黒字。でも、やっていることは4年間ずっと同じです。この数字を見ても、商売がうまくいっているのか分かりません。

減価償却を使うと、こうなります。

1年目2年目3年目4年目
収益24,000円24,000円24,000円24,000円
費用20,468円20,468円20,468円20,468円
利益3,532円3,532円3,532円3,532円

毎年3,532円の黒字。こちらのほうが実態に合っています。

Mac miniを買った81,873円は、出ていったお金ではありますが、買った瞬間は費用ではありません。現金が減って、代わりに資産が増えただけとみなします。持っているものの形が変わっただけだからです。

資産として持っているものが、使うにつれて価値を減らしていく。その減った分を、毎年費用に振り替えていく。それが減価償却でした。

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